「そうなんだ…がんばってね」
「ん。好きな席座って」
適当な接客を受けたあと、水湊くんに腕を引っ張られてあたしたちは席につく。
…ちょっと、力強いよ。
つかまれてた腕がヒリヒリする。
「まさかこんなところで遭遇しちゃうとはね」
「…うん」
「頑張り屋だね、彼」
どことなく皮肉が含まれてる気がするけど…。
うん、気づかなかったふり。得意。
…あたし、思い出した。
水湊くんと付き合ったあと、歩夢とまこちゃんにはすぐ報告した。
でも…夏向にだけは、言えなかった。
傷つけたくなかったのかな。
…バカだよね、いつかはバレるのに。
そして、あとから黙っていたことが知られたら余計傷つけるのに。
……夏向は、あれから。
綾野さんとは、なにもない?
もしかしたら、何かの拍子にあたしに彼氏ができたことを知って……もう、綾野さんと付き合ったかもしれない。
変だね。
胸がちょっとだけ、痛くなったよ。



