しばらく泳いで、……って言ってもあたしは浮き輪で浮いてただけだけど。
あたしたちは海から上がった。
「おなかすいたー」
「海の家いこっか」
水湊くんの提案で、あたしたちは食料調達へ。
たしかフランクフルト売ってるって書いてあったよね……想像するだけでおなかが鳴りそう。
ドアもなにもない、海の家らしい作りの小屋。
木製の床が少しきしんだ。
「いらっしゃいませー……」
店員さんの声。
ものすごく聞き覚えあったよ。
「あ」
「…あ」
あたしとその彼、顔を見合わせて黙る。
……夏向。
なんでここにいるの?
「カナタくんだ、噂の」
「…噂?」
「な、なんでそんなかっこうしてるの?」
喧嘩になっちゃうかも、って慌てて聞いたあたし。
夏向は淡々と「夏休みの間だけここでバイトしてるからだけど」って答えてくれちゃった。
夏休みの間だけ…。
知らなかった。
なんで、言ってくれなかったんだろう。
なんで、なんで…って、疑問符ばかり浮かんでくる。



