なんなら昨日、正式に振っちゃったし……。
はあ。考えると憂鬱になってくる。
「ホント?」
「超ほんと!!」
「…ふふ」
楽しそうに笑ってる水湊くんの腕を、さりげなくつかんだ。
手を握る。…恋人繋ぎ。
「……凛久ちゃ」
「好き」
名前を呼ぶ声、遮って伝えた。
きっと、これがあたしの本音。
一緒にいてわかった。
あたし、この人のこと好き。
優しくて、頼りになって。
あたしのこと女の子扱いしてくれる。
こんないいひといない、って思った。
目を開いて足を止める、彼を見上げた。
水湊くんなら、漣のトラウマを忘れさせてくれるかもって思ったんだ。
「…嘘ついてる?」
「嘘じゃないよ。…本当に、好き」
そこ疑う?
水湊くんの顔がどんどん赤くなっていく。
「顔真っ赤で、かわいい」
「……いや、かわいいのは凛久ちゃんだから」
そういって、ぎゅっと手を握り返された。
あたし? …かわいい?
「…付き合う?」
静かな道路。
住宅街はすぐそこ。
水湊くんの低すぎない心地良い声色にドキドキ、してた。
「…うん」
こうして。
水湊くんとあたしの、交際生活がスタートした。