【完】超一途な彼はお友達じゃ我慢できない。






やっぱり…並んで歩いてると様になるなあ。
少しだけ、羨ましいかも。




あたしはちんちくりんで幼児体系だから、夏向の隣も、水湊くんの隣も似合わない。






「……凛久ちゃん」





突然。
水湊くんに、腕を引かれた。
フードコートとは逆のほう。





「やっぱ、ご飯行くのやめた。帰ろ」


「う、うん…っ」





水湊くん……怒ってる?
腕を引かれながら顔を見上げてそう思ったけど、理由なんて聞けなかった。




…これ以上、怒らせるのが怖かった。
もう、好きな人に嫌われたくないから。






あたしはさっき耳にはめたばかりのパールのピアスを触る。
大丈夫…、水湊くんは優しいから。




きっと、あたしのこと無下に扱ったりしない。
酷い別れ方だって、しない。




水湊くんと一緒にいれば……漣のことだって、忘れられる。




そう、自己暗示のように、心の中で唱えていた。