「全く、お前はいつも寝てばっかりで……」
「はい」
「他の先生からもよく話を聞くぞ。芦屋が真面目に授業を聞かないって…」
「はい」
もうね。
なにも言うことないよね。
相変わらず呆れ顔をした先生から一瞬目をそらして、雨降り始めちゃったなあ……って考えてみただけなのに。
「こら、話聞いてんのか!!」
あー。
また怒られた。
さすがに自信喪失してくるよ。
あたしってこんなダメ人間だったんだ…。
気づかせてくれてありがとう、先生。
「こうやって叱ってもらえてるだけありがたいと思えよ? 何も言われなくなったら終わりだからな」
「…はい」
ごもっともです。
叱ってくれてありがとう、先生。
「これ以上なにかやらかしたら、ひとりで体育館掃除させるからな」
「ええっ」
「ええ、じゃない! お前に拒否権なんかないぞ」
「……パワハラ」
ぼそっとつぶやいてみたら、先生黙っちゃった。
パワハラって言葉には弱いんだね。いいこと知っちゃった。
「…じゃあもう今日は帰りなさい。風邪ひかないようにな」
「はーい」
やっと解放された。
あたしはルンルンしながら職員室を出て、教室に向かう。
まさか、あんな光景を見ることになるとは夢にも思わず…。



