告白されて気まずいって思ってたのはどうやらあたしの勘違いで、夏向は普通に話しかけてくるし、普通にからかってくるし…。




でも。
たまに切なそうな表情をするのが、引っかかる。




あたし……まだ、返事してない。



いや。答えは決まってるんだけど、言うタイミングがないの。






「凛久、お前傘持ってる?」


「持ってない。夏向は?」


「俺も忘れた」





やめて。
そんな風に、くしゃっと笑わないで。



勘違い、しちゃいそうになるから。





これ以上、あたしの心を揺さぶらないで。
お願い。






「いいとこに集まってんな、お三方よ」






そういって合流したのはまこちゃん。
お、お三方? 古い言い方…。





「今日、四人で飯食い行こうぜ」





そんなお誘い。
夏向の顔をチラッと見た。



ねえ…ホントに、あたしと一緒にいてどうってこともないの?





「いいね、賛成」


「あゆも暇だしいいかなぁ」






夏向も歩夢も参加の意思表明。
……行くしかないか。





「あたしも」


「よし、決まり。放課後教室残ってろよ、ちゃんと」


「あゆ忘れて帰っちゃうかもー」


「ムリ。俺が引き留めるから大丈夫」





うん。
まあ……今は、気にしたって、無駄だよね。