「今日、午後から雨らしいよ」






水湊くんに告白された日から、少しだけ時間が経って、七月に入った。
昼休み、歩夢のそんな言葉に「えー…」とうなだれる。




今日バイトないからいいけどさ。
傘持ってきてないよ……。





「湿気で髪終わるんだけど」


「雨降って良いことってひとつもないよね」





止むまで教室で待機していようかなあ…。
スマホのカメラで髪の毛を直す歩夢の一部始終を、ぼーっとしながら眺める。





「自分の席戻れよ」





ーードキ。




眉間にしわを寄せて歩夢を見下ろす夏向。
この絡み、久しぶりに見た。



歩夢が夏向の席を奪ってて、夏向が迷惑そうにしてるの。





「やだよ。カナはあゆの席使ってー」


「だからなんで?」


「あ、やっぱダメ。あゆの席が汚れる」


「誰が使うか!」





まるで漫才みたいだね?




夏向は……。
あれから、いたって普通だ。