「……俺、凛久ちゃんのこと好き」
デジャブ。
この前も見た。この光景。
心臓、バクバクしてる。
まさかこんな短期間で二回経験することになるとは。
ねえ、水湊くん。
チャラいって思ってた。からかわれてるって思ってた。
でも、そんな真剣な顔されたら……無下に出来ない。
「…返事はすぐじゃなくていいよ」
待ってよ。
夏向にすら返事、できてないのに…。
ずるい。
水湊くん。
……完全に、付け込まれた。
その自覚はしてるけど、真剣に好きでいてくれてる人たちのこと、適当にあしらえないよ…。
「でも俺、本気だよ。……カナタくんだっけ? 彼にも言っといて」
「……」
「凛久ちゃんのことは俺がもらうから、黙って見ててって」
分かりやすい宣戦布告。
なんで……あたしなの。
特別かわいいわけでもないし。
特別優しいわけでも、ないし。
好きになってもらう要素、ないのに。
「……凛久ちゃん、大好き」
夜に溶けた二人。
そっと、キスが降ってきた。
…抵抗、できなかった。あたし。
ぜんぶ中途半端。
このままじゃダメになる。
わかってたから、あたしはここで決めた。
ねえ、好きになってみても、いい?