「おつかれさまでーす」
それから数日後。
指の傷もすっかりふさがったくらい。
バイトが終わって帰ろうとお店を出たところで。
「待って、凛久ちゃん!」
うしろから呼び止められて、腕をつかまれた。
水湊くん。
「おつかれ、水湊くん」
「おつかれ……あの、一緒に帰ろ」
「いいよ」
そんなお誘い珍しい。
途中まで一緒だもんね。
あたしは水湊くんと並んで駅まで歩く。
家までの距離。
水湊くん、二駅。
あたし、五駅。
すぐバイバイだけど、いいの?
会話はない。
でも…何もしゃべらなくても、落ち着ける。
水湊くんの強みだと思う。
雰囲気?
やっぱり王子様キャラがいいのかな?
「バイト、慣れた?」
「うん、おかげさまで」
沈黙を破ったのは水湊くんだった。
そりゃ、教育係が水湊くんだからね。
慣れるのなんて一瞬だよ。



