「凛久ちゃんっ!?」
お手洗いにいってた水湊くんが戻ってきた。
駆け寄ってきて、あたしの手をつかむ。
「怪我してる……稲葉、お皿片付けといて」
ホールのもうひとりの男の子に、丸投げ。
申し訳ない……。
はじめて、バイトで大失敗したよ。
事務所につれてこられた。
イスに座って、救急ボックスを取り出す水湊くんを見てる。
「……なんか、慣れてるね」
「え? あー……まあ、ここの奴らよく怪我するし」
そうなんだ。
じゃあ特に珍しいわけでもないのかな。
「はい、消毒するから手出して。ちょっとしみるよ」
子供じゃないから、ちゃんと我慢した。
痛かったけど、声出さなかったよ。
「凛久ちゃんさ」
「うん」
「……女の子なんだから、もっと体大事にして? 心配するし」
女の子。
……女の子扱い、された。
ドキ、ドキ。
心臓…またうるさくなる。