「カナー」
教室。
二時間目が終わると、麻琴が話しかけてくる。
「数学の課題見せて」
「またかよ」
俺があきれながら言えば、麻琴は心のこもってない平謝りをする。
こいつ、いつになったら自分で課題やってくんの?
そんなことを思いながら、数学のノートを取り出す。
「あざすっ」
視線を横にずらす。
……凛久がいない。
あたりを見回してみれば、すぐに見つけた。
今日は凛久が歩夢の席に移動してるのか。珍しい。
「また凛久のこと探してる?」
「……うるさい」
「おまえもほんと好きだねえ、昔っから」
好きだよ。
簡単に諦めつくほど、この気持ちは小さくない。
「てか、それを言うならお前もだろ」
ノートに文字を移す麻琴の手が止まった。
人の言えた立場? お前。
「……いいじゃん、別に」
「いや、いいけど」



