「出さねえよ」
「お久しぶりです」
「久しぶり。大きくなったなあ、凛久ちゃん」
中学からじゃそこまで変わってないですよ。
夏向パパはあたしの斜め向かい、夏向ママの隣に座ってあくびをひとつ。
「美味そうなの食べてんな」
「これは凛久ちゃんのだからダーメ。りんごならあるけど食べる?」
「食べる」
夫婦の会話って癒されるなあ。
夏向ママは立ち上がってキッチンに向かう。
パパにつられたのか隣であくびをこぼしてる夏向。
見つめてみたら、「見んな」って言われた。
ツンデレ? 夏向のツンデレも、需要ないよ。
「イチャイチャしちゃって」
「してねえ」
「凛久ちゃんはいつ夏向の嫁に来てくれるんだ?」
…えっ。
砂肝を頬張ったあと、固まった。
嫁?妻?
つまるところ、ワイフ?
あたしが、夏向の!?
「余計なこと言うな!!」
「おー、こわっ」
隣で夏向が顔を真っ赤にして立ち上がる。
な、なに? まだ状況整理がおいついてない……。
「…気にしなくていいから、凛久」
「う、うん」
ドキ、ドキ。
高鳴る胸は、気のせいってことにしておこう。



