「凛久ちゃんおなかすいてる?」
「めちゃくちゃすいてます」
「ちょうどよかった。簡単なものしか作れなかったけど……」
ダイニングテーブルのイスに座って待っていると、運ばれてきたのは野菜炒めに卵焼き、中華風わかめスープ、塩コショウで味付けをした砂肝…。
「つ、作りすぎでは…!?」
「…そうかな?」
「気合い入りすぎだって言っただろ、母さん」
いや、うれしいし、全然食べきる自信あるけど。
これは……張り切っちゃったね、夏向ママ。
「たべていいですか?」
「どうぞ」
夏向はあたしの横で興味なさそうにスマホを見てる。
一方、そのママは味の感想を期待しているのか、キラキラした眼であたしを見てくる。
「どお?」
「めちゃくちゃおいしいです」
「よかったあ! 急いで作ったから失敗しちゃってたらどうしようって思ってえ」
いや……まあ、それに関しては急に来たあたしが悪いし。
実際、本当に美味しいから問題ないですよ。



