【完】超一途な彼はお友達じゃ我慢できない。








行きは現地集合だったけど。
帰りは方向が一緒だから、途中まで一緒に帰る。




電車に乗り込むと、すっからかんの車内。
疲れがたまってたのか、座席にすわるなり凛久ちゃんはすぐにうとうとしはじめた。




俺も疲れた……ひさびさにはしゃいだ気がする。




凛久ちゃんがうとうとしはじめてすぐ。
彼女の隣にサラリーマンが乗ってきた。




こんなに空いてるのに……こいつ、下心丸出しだろ。
ああもう。だから他の人の目にさらしたくない。




ドアが閉まって、電車が動き出した。
走っているときの揺れが気持ちよかったのか、凛久ちゃんは本格的に寝てしまった。





ゆら、ゆら……。
体が揺れて、それから。




ーーガシッ




あろうことかサラリーマンの肩に頭を預けそうになった凛久ちゃんの肩を抱いて、俺のほうに引き寄せる。




そのついでに、キッと睨んでやった。
鼻の下伸ばしてんなよ。




慌ててスマホに目を落としたサラリーマンを横目に、俺は凛久ちゃんの頭を撫でた。






今日、楽しかった?
俺はね。ここ最近で一番楽しかった。




…でも、凛久ちゃんのこと、もっと欲しくなったよ。




ねえ。
無理矢理にでも、奪いにいっていいかな?