( 水湊 SIDE )
◇ ◇ ◇
売店についてすぐ、俺がタオルを手に取ってる隙に凛久ちゃんの姿が見えなくなっていた。
もう……これ、キミが使うやつなんだけど?
俺よりもいくらか背の小さい彼女を探す。
少しして、見つけた。
お土産コーナー。キーホルダーに釘付けになっている。
濡れたワンピースに俺のニットベストを着る凛久ちゃん。
正直。可愛すぎて目の毒っていうのは、キミのためにある言葉だと思ってるよ。
「あ、水湊くん!!」
「勝手にいなくならないでよ。心配するから」
「…ごめんなさい」
しょんぼりした顔。
…いいね、その表情も好き。
今日一日一緒にいたけど。
もっといろんな凛久ちゃんを見たくなった。
これだけじゃ足りない、もっと、って。
こんな欲深い自分ははじめてでちょっと困惑してるんだけど。
……このニットを着せたのだって、自分のエゴでしかない。
チラチラ見る男たちの目が、下心しかなかったからね。
見せたくなかったよね、シンプルに。



