誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 ……私とルード様とのやり取りを見ていただろうが、何も言わない。表情にも見せない。
 これが、本当の侍女の姿なんだろう……。
 ルード様に生意気な口を利ける立場だと思ってるの!と、子爵家だったらお茶をぶっかけられていたかもしれない。
 お茶が終わると、客間へと案内された。
「少しおやすみください」
 ベッドサイドの机の上には、水を張ったたらいと手拭いが用意されていた。
 目を冷やすために準備された物だとすぐに気が付いた。
 泣いて腫れた目……。何も言わずに用意されている。ありがたくて、その優しさにまた泣きそうになった。
 本当なら、ここまでしていただく必要はないと、すぐに帰った方がいいのだろう。
 だけど……。
 少し、休みたかった。
 きっと子爵家に帰れば、すぐにお父様が「どうだったんだ」「失敗してないだろうな」など、質問攻めにするだろう。
 本当に疲れていて……。体じゃなくて、心が。少しの時間でいい。休ませてほしいと……。一人になって泣く時間が欲しいと……悲鳴を上げている。
「ありがとうございます」
 お礼を言うと、侍女は部屋を出て行った。
 ふぅとため息をついてベッドに腰掛ける。
 ……ルード様に好きだと伝えてしまった。
 酷い女だ。
 ルード様は高位貴族だろう。子爵令嬢と結ばれるはずなんてないもの。