誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

「ア……アイリーン……」
 苦しそうに眉を寄せるルード様。
 分かっている。
 ルード様にとっては迷惑なことだと。
 だから……。
 懸命に笑顔を作る。
「もう、私に構わないでください」
 ルード様を拒絶する。
 これ以上好きにさせないで。
 どうせ、私とルード様に未来などないのだから。
 傷が深くならないうちに。
「幸せそうに、天井画を眺めていた君も、花の名前も知らない君も、俺は」
「出て行ってくださいっ!ルード様っ!」
 せっかく作っていた笑顔だったのに。
 涙が溢れてきた。
「これ以上、あなたに触れられたら、私は私でいられなくなります」
 だめだと分かっているのに。その手に抱きしめられたいと望んでしまう。
 アイリーンの評判を落とすわけにはいかない。
 そして……。
「もう、これ以上、ルード様の口から、ヴァイオレッタを悪く言う言葉も聞きたくありません……」
「それは……」
 確かに私は家でアイリーンに使用人のように扱われていた。でも、それはお父様が私にそうしていたからだろう。
 雑巾を投げつけるのも、ドレスに針を仕込むのも、全部侍女たちの仕業だ。アイリーンは私に自慢話をして、私を馬鹿にする。ただそれだけ。
 食事抜きだと決めるのも、無理な仕事を押し付けるのも、お父様だ。
 いいえ、時には私をいやらしい目で見る家令も、私を思い通りにできないと食事抜きになる。