誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 ルード様が、ハンカチを手に取ると、自分の唇に押し当てた。
 どきりと心臓が跳ね上がる。
 私が口づけられたわけでもないのに、愛おしそうな顏で、私が刺繍したハンカチに口づける姿に顔が赤くなる。
「アイリーンだと思って、大切に使わせてもらうよ」
 私だと思って……。
 ルード様がハンカチをチーフポケットに入れた。
「食べないのか?」
 お腹は空いているのに、胸がいっぱいで……目の前にご馳走があるというのに、手を伸ばしていなかった。
「もしかして、自分だけが食べるのが気が引けるのか?」
 確かにそれもある。食事は一人分しか用意されていない。そりゃ、朝食の時間には遅いし、昼食には早い時間だ。
「気にしなくていいよ。ほら」
 ルード様が、スプーンでスープをすくって私の口元へと運ぶ。
 ああ、昔マーサが、病気をした私のために、こうして食べさせてくれたなぁ……。
 と、懐かしく、そして幸せな気持ちを思い出して口元に運ばれたスプーンからスープを飲んだ。
「え?」
 声に驚いてルード様を見ると真っ赤になって口を押えている。
「あ、いや、スプーンを受け取ってもらえるかと……その……」
 しまった。
「ご、ごめんなさい、あの、な、慣れていなくて、こ、こういう時どうしたらいいのか、分からなくて……」
「いや、俺の方こそ、何するにも配慮が足りない……っ」