誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 もしかして、私が刺繍したのではないと思われていたの?それを確認するために直接持ってこさせた?
「う、嘘じゃないです。前にお贈りしたものもこちらも、私がさしました」
 慌てて声を上げると、小さくジョアンナナ様がため息をついた。
「確かに、自分が刺繍しましたと嘘をついて、買ってきたり、侍女に刺繍させたりする者もいますけれどね、私はそれを疑ったわけではないのよ。驚かせてしまってごめんなさいね」
 ジョアンナ様が、ハンカチを広げてテーブルの上に置いた。
「とても立派な刺繍ね。1つの花に3色の糸を用いてグラデーションを作って立体的に見せているのね。それに、丁寧に一つずつ花を刺繍してあるばかリでなく、使い勝手を損なわない位置に、飾りの模様も繊細に施されている。とても素敵な作品ね」
「ありがとうございます」
 褒められたことに嬉しくなり、頭を下げる。
「この間のお礼のハンカチは、手紙に自分で刺繍したと書いてあったけれど、まさかと思ったのよ。それで、今回はもしかしたらと確かめさせてもらったの」
 ふぅと、侯爵夫人がため息をついた。
「寝ていないのでしょう?徹夜で刺繍をしたのよね?」
「え?」
 侯爵夫人の手が私の頬に触れた。
「目の下に隈もできているわ。無理させてしまってごめんなさいね……」
 無理なんてっ!
 していないと否定しようとしたときに、ノックの音が響いた。
「入って頂戴」