誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 ノックもせずにお父様が部屋に入ってきた。
 慌てて、お母様の日記を机の引き出しに入れる。
「あ」
 ここはアイリーンの部屋だった。机にはすでに何かが入っていて入らなかった。
 慌てて立ち上がり、お父様に見つかりませんようにと体で隠す。
「どうなさったのですか?」
 お父様は幸い、何かに興奮しているようでまるっきり私の行動を気にした様子もない。
「すぐに、刺繍だ。ハンカチに刺繍しろ!」
「え?」
 お父様が、手紙を私に見せた。
「侯爵夫人からの手紙だ」
 手紙には、ハンカチのお礼とともに、をとても気に入ったということが書いてあった。
 たくさんのハンカチを持っているけれども一番気に入っている。
 私のためだけに作られた者だと言うのが伝わった。
 ……と。
 ほっと息を吐き出す。
 紫のヒヤシンスを選んでよかった。
「私がお前にハンカチに刺繍して贈るように言ったのがよかったんだな。下手に宝石なんか贈らなくて成功だ。やはり私の判断は正しかったんだ」
 お父様の言葉を聞きながら手紙を読み進めていく。
 知り合いがとてもうらやましがっていたので、その人に贈りたいので刺繍をお願いできないかと書かれている。
 なるべく早く欲しいと。出来上がったら、刺繍をした本人に侯爵邸まで届けてもらえないかとも書かれている。