誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 本……の形をしているけれど、中は日記帳だ。お母様がつづった日々の出来事が書かれている。
 私を妊娠してからのこと。生まれてくるのを楽しみにしていると書かれている。
 女の子だったらどんな名前がいいだろう、男の子だったらどんな名前がいいだろう……と。
 パラりと開くと、ピンクの押し花。
「ルード様……」
 ルード様がどこの誰だろうとどうでもいい。身分なんて……知っても仕方がない。
 私はアイリーンじゃないのだから。
 ヴァイオレッタとして、アイリーンの産んだ子の父親だろう人と結婚する。
 だけど、ルード様のことを知りたいと思ってしまうのはどうしてだろう。
 どこの誰だろう。
 弟の後始末をしなければならないと言っていた。
 そう、それから……。
 ヴァイオレッタのことを聞きたいと言っていた。
 それはなぜ?
「まさかっ!」
 アイリーンが書き記した父親候補リストを取り出す。
 誰だか判明しているのが14人。判明していないのが6人。
 金髪が6人に銀髪が1人。黒髪が1人、濃い茶髪が4人、薄い茶髪が4人、それから赤毛が3人、アッシュグレーが1人。
 正体不明の人は誰か分かったのかしら?そうだ。婚約者がいないと書かれているこの人……。
「あのとき伯爵令嬢が結婚を申し込まれるはずだと言っていた……」