誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 だって、アイリーンはお父様と同じ髪の色をしているから……私と違って愛されているのだもの。
「全部間違いよ……。私は大きな顔なんてしていない。侍女が辞めたのは私のせいじゃない。それに、私は忠告しようとしただけ。早く子爵家の使用人をやめた方がいいと」
 赤ちゃんを産んだのはアイリーンだという秘密を知る前の今なら、冤罪をかけられて辞めさせられることはないだろう。
 もう少しすれば、私がお腹が大きくならなかったことで嫌でも秘密を知ることになる。
「はぁ?辞めろっていうわけ?」
 この侍女のことは好きではない。……だけど、地獄に落ちろと思うほど憎んでもいない。
 いうなれば、天気のようなものだと思っている。
 冷たい雨の日は嫌だなぁと思う。それと同じ。嫌だなぁと思うこともあっても、そういうものだと思うだけ。
 冷たい雨を降らせるなんて酷いとか、許さないとか思わない。いちいち心を煩わせるほどのものではない。
「いい気になってんじゃないって言ったでしょう!お嬢様、分かってんの?私は秘密を握ってんのよ?」
 にやりと侍女が笑う。
「あんたがアイリーンに成りすましてお茶会に行ったって、ばらされたいの?」
 ニヤニヤと笑い続ける侍女。
 バラされたら、どうなるんだろう。
 私は困ったことになる?
 売られていた刺繍のことをまた思い出す。