誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 薄い青紫の布を選び、濃い紫の糸と少し色の違う糸を選ぶ。
「あ……」
 花言葉を思い出し、お礼として渡すのにふさわしいと思えないことに気が付いた。
 ……許してくださいなんて意味のハンカチをもらっても困るわよね……。
「どうかなさいましたか?」
 急に手を止めて考え込んだ私に、お店の人が声をかけてくれた。
「あの、お礼にハンカチに刺繍をして贈ろうと思ったのですが……お礼にふさわしいモチーフが思いつかなくて……」
「お礼でしたら、この辺りでしょうか。ピンクの薔薇にはありがとうという花言葉があります。それから、こちら。カスミソウの花言葉にも感謝の意味が」
 カスミソウと言って見せてくれたハンカチには、小さな白い花がハンカチ一面に散らされていた。緑の額が付いた可憐な花。
「これだわ。ありがとうございます!」
 色のついた布を使うのだ。真っ白なカスミソウは映えるだろう。濃い色のヒヤシンスの周りに、真っ白なカスミソウを添えよう。
 お店の人に品物をお渡し代金の計算をしてもらう。
「以上でよろしいですか?」
 金額を聞いて「これもください」と、もう1つ追加した。

 屋敷に戻ると、すぐに屋根裏部屋にこもって刺繍を始める。
 チクチクと刺繍を続けていると、いろいろなことを思い出す。
 最後に令嬢に囲まれていろいろとひどいことを言われたことも。