誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 言いつけるって。判断をアイリーンに相談するってこと?流石に、そんな先に侯爵夫人に針の話を手紙に書いて出すのもおかしいでしょう。
「侯爵夫人は何と思うか……」
 ぼそりとつぶやくと、侍女が再び顔を青くする。
「まぁいいわ。あなたの判断で行ったことだということが分かれば……。アイリーンと私の体形が違うから、ドレスを体に合わせるために、貴方が判断して行ったのよね?誰かの指示でしたことではないのね?」
 侍女が逃げ出すように部屋を出て行った。
 ほら。やっぱり。
 アイリーンは、私の体を傷つけるようなことを指示したりしない。
 お父様は私の髪を引っ張って頭をぶつけるようなことを平気でするのに。
 侍女ですら、私が怪我をするかもしれないと分かっていて、物を投げつけたりするのに。
 ドレスをベッドの上に置く。
 手入れをしてクローゼットに入れなければならないけれど、侍女がするだろう。
 血抜きをされたドレスはハンガーにかけてラックに吊り下げておく。
 使用人のおさがりのような粗末なワンピースを身に着けると、急いでハンカチに刺繍をするために裁縫箱を子爵家の資材庫から取り出す。
「あ……」
 裁縫箱の蓋を開くと、帳簿では確か針は5本はあるはずなのに1本もない。
「……いったい、ドレスの背中に何本針を使ったのか……」
 そんなにサイズ合わせに使うくらいなら、縫い付ければよかったのに。