誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 なんとか馬車に乗り込むと、まずは気になっていたことを確認しようと父親候補リストを取り出す。
「金髪の、アーサー……婚約者なし。伯爵家次男……」
 アイリーンの文字に、お父様が書き加えた文字。
「さっきの人?……でも、ミューナ様を愛しているならヴァイオレッタと関係を持つわけはない……わよね?ミューナ様はアイリーンのことを愛人の子だとひどく馬鹿にしていた。愛人を作るような男性を選ぶわけない……はずだし……」
 ということば、別の金髪のアーサー?
 アーサーという名も、金髪も、特別珍しいわけではない。
 ……もしかしたらお父様の情報も間違って別の人のことを書いている可能性もある。確認した方がよさそうだと、お父様に伝えよう。
 それにしても……。
 いくら、場違いなお茶会に顔を出したからと言って、ひどい言われようだった。
 生まれてくるべきじゃなかったとか……。
 誰にも愛されてないだとか……。
 親もアイリーンのことを利用しているだけだとか……。
「ゴミ……か」
 アイリーンが、私のことをよくそう言って馬鹿にしていたけれど……。
 まさかアイリーンも、言われていたなんて……。
「知らなかった……」

「お父様、ただいま戻りました」
「ん?お前、まさかヴァイオレッタ用のドレスで侯爵家のお茶会に行ったわけじゃないだろうな!」
 お父様が、少し紫がかった紺色のドレスを見て目を吊り上げた。