誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 水をかけられることはあっても、やけどするようなお茶をかけられることはない。きっと、針のことだって、アイリーンは関係ない。
「大方、使用人に命じてやらせたんだろう」
 ルード様が、大きくため息をつき、私の顔を見た。
「……辛かっただろう。かわいそうに……」
 本当に違うのに……どうしたらわかってもらえるだろうか?
「ヴァイオレッタ……なんてひどい女だ。聞きしに勝る悪女だな……。許しては置けぬ」
 憎しみのこもったルード様の声に、涙が落ちた。
 ルード様の中では「ヴァイオレッタ」はひどい女。悪女……。
 憎しみを持って口にする名前……。
「もう、お義姉様の話は……」
「ん、ああ。辛いことを思い出させてしまったか」
 ルード様の口からこれ以上「ヴァイオレッタ」を悪く言う言葉は聞きたくない。
「……はぁ。弟の後始末で仕方なくと思っていたが……。アイリーン……君を救うためでもあるならば……」
 私を救うため?
「手紙を送ってもいいかい?」
「いいえ……お父様が許さないわ」
 アイリーン宛で出しても、私の手元には渡らないだろう。いや、私宛ならなおさら手元には来ないはずだ。
「ああ、そうだな……。じゃあ、また招待状を」
 今日のような高貴族からの招待状ならば、お父様も無視することはないだろう。けれど……。
 首を横にふる。
「お義姉様が静養しているというのに、私ばかリ社交するのは……」