誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 確かに、婚約者の瞳の色のドレスを着ることはある。男性がドレスの色に合わせたハンカチや花をチーフポケットに入れることもある。
「すまない。つい……そうであれば……いや、なんでもない。言うべきではなかった」
 いいえ。
 冗談でもそんなこと言うべきではないのは分かっていても、言われて心が歓喜にむせいでいる。
 芽生えた気持ち。
 誰にも言えない恋心。
 ルード様との貴重な時間。
 大切に重ねられていく思い出と言う宝。
 確かにこの時、私は大切にされたと。
 マーサがいなくなってから誰からもぞんざいに扱われていた私を。
 ルード様は気遣ってくれる。
 アイリーンのフリをしているけれど、ルード様と私は初対面だった。アイリーンとしてじゃない。私を、見てくれる。
 アイリーンじゃない私として……。
「それで、話は聞いた」
「え?話とは?」
 突然ルード様が話を変えた。
「……焦りすぎだな。まずはお茶をいただこう。気持ちを落ち着かなければ。今にも殴り掛かりそうだ」
 その言葉にびくりと肩をすくめる。
「ああ、すまない。汚い言葉で驚かせてしまった。ほら、お茶が入ったよ」
 カップの中を見て、どきりとする。
 青いお茶だ。
「こちら、エディブルフラワーの一つであるコーンフラワーのお茶です」
 まるで、ルードの濃紺色の瞳に合わせたような深い青い花びらがカップに浮かんでいる。