誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 視界の端に、ルード様の胸に挿した紫のヒヤシンスが映る。
 あなたを好きでいることは許してください。
 手を繋がれていることに幸せを感じているのを許してください。
 ルード様に手を引かれて連れていかれたのは、侯爵家のお屋敷だ。
 勝手に屋敷に入るなんて……!と戦々恐々としているけれど、ルード様はお構いなしだ。
「どうなさいましたか?」
 お茶会が開かれているのは使用人も分かっているため、こんな時の対応にも慣れているのか、すぐに使用人の一人がルード様を制止しつつ、にこやかに対応した。
「部屋を貸してほしい」
 ちょっと驚いた顔をしただけで、使用人はすぐに元の表情に戻った。
「申し訳ございません。今日のお茶会ではそのような趣旨はございませんので」
 ルード様が、慌ててつかんでいた私の手を離した。
「いや、すまない。言葉が足りなかった。そういう意味ではない」
 そういう?
 部屋を貸す趣旨の催し?
「あっ!」
 その意味することに思い至って顔が真っ赤になる。
 夜会では、盛り上がった男女が部屋を借りることがあると聞いたことがある。
「侍女も借りたい。彼女は怪我をしているんだ」
 そう言い、ルード様が少しだけ私の髪を持ち上げた。
「いや、念のため言うと、痛いというので確認しただけで、背中を見たら気が付いたというわけではない。けっして、その……」