誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 名前は知っている。本に出てくるから。でも、どんな花なのかは分からない。薔薇は分かるけれど、ビオラもアネモネもどんな花なのか分からない。
 ルード様が笑った。
「それはよかった。俺も花には詳しくないんだ。何とかの花がどうのとか、花ことばは何だとか……言われても答えることができないところだった」
「え?えーっと、あの、じゃあ、一緒にいろいろ見て好きな花を見つけませんか?」
 ルード様のエスコートで庭園に足を踏み入れる。
「窓から見えた花はこれだね。薔薇だ」
「ふふ、本当。薔薇だわ。薔薇なら私も名前は知っているわ」
「ケンティフォーリアだとかフロリバンダだとか、薔薇にも種類があると言われてもどれがどれだか分からないな。薔薇は薔薇でいいじゃないか」
 ルード様の言葉に大きく頷く。
「花言葉から、恋人には赤、男達にはオレンジ、女友達にはピンク……なんて言われても、どの色の薔薇も素敵なのだから勿体ないわよね」
 一面に咲き誇る色とりどりの薔薇。
 圧倒的なその景色に、ため息しか出ない。なんて美しいのだろう。
「ああ、確かに。アイリーンに贈る薔薇が赤だけなんてもったいない」
 え?
 赤は恋人に贈る色……。
 ルード様の言葉に顔が赤くなる。まさか、ルード様は私に赤い薔薇を?と、そこまで考えたところで、ルード様がハッとする。