誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 アイリーンのどんな噂を耳にしているのか分からない。ボロが出る前に立ち去ろうと頭を下げる。
「ま、待って!」
 背を向けたら引き留められた。
「手を掴まれては、聞こえないふりをして立ち去ることはできない。
「弟が……」
「弟?えっと……」
 誰?誰の事?
 知っていて当たり前のことなの?アイリーンの知り合い?ルードの名前も出してた人がいる?
 どうしよう。何も分からない。
「ご、ごめんなさい、その……ルード様の弟というのは?」
 名前を聞いたら、〇〇様のお兄様でしたの?とでもすっとぼけよう。あとでお父様に聞けば誰のことか分かるだろう。
「いや、分からないなら、いい。うん、いいんだ」
 え?名前を聞かないとますます誰か分からないままだよ。
「天井画もいいけれど、首も疲れるし、少し外に出ないか?」
 ルード様が開け放たれた窓の外に視線を向ける。
 ダンスホールとは違って、公爵家の庭には人はまばらだ。
 幸いにして?ルード様のおかげで公爵様へのあいさつは済んだ。あとは、人気のないところでひっそりと時間がたつのを待てばいい。
 アイリーンの知り合いとなるべく接触しないように。
 そのためには庭に出る方が得策だろう。
 と、どうするべきか考えているとルード様があわてた。
「あ、いや、違うからな?そう言う意味じゃない。ほら、夜会と違って、明るいから」
 そういう意味って、どういう意味?