誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 周りの目を気にしていたため、彼が私の手を引いてどこへ連れて行こうとしていたのか分からずにいた。
 気が付いたら、すぐ目の前に公爵夫妻がいた。
「え?ここは……」
 並んでいる人を飛ばして挨拶ができる人の場所だ。
 それはかなりの高位貴族か、親族のみのはず。高位貴族であれば、女性たちが誰なんてささやくはずはない?
 とすると親族?
「なんだ、ルード、挨拶ならさっき受けたぞ」
 公爵様が、私の手を引く男性……ルードに砕けた口調で話しかけた。
 やっぱり、親族なのかな。
「そちらの女性は?」
 公爵夫人が私に目を向ける。
「ちょっと、この絵が見たいっていうから、連れてきた」
 私の手を引く男性……ルードが天井を指さした。
 その動きにつられて、公爵夫妻が絵を見上げる。
 ちょっと、私が見たいって我儘を言ったみたいになってない?
「ほら、見たかったんだろ」
 ルードに言われて、見上げる。
「ああ……素敵……愛が伝わってくる絵ですね……」
 思わずため息が漏れる。
 女性が、赤ちゃんを抱く絵だ。女性……母親だろうか……は、本当に幸せそうに、そして赤ちゃんを愛おしそうに見ている。
 アイリーンの子が生まれたら……私は姪をこの手に抱けるのね……。大切にしたい。
「ああ、こんな素晴らしい絵がここにあったのだな。天井画を見ることもなく気が付かなかったよ」