誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 お父様が家を出て、家令が執務室にこもっている間に、屋根裏部屋とアイリーンの部屋、それからヴァイオレットの部屋とされている場所を往復する。必要な物をなるべくコンパクトにまとめていく。
 私が必要とするのは……お母様の本と、マーサが作ってくれたもう小さくて着れなくなってしまったエプロンドレスだ。
 あとはいらない。もともと自分の物は少ししかなかったけれど……どれもいらないもの。
 アイリーンの部屋でいる物……。
 ドレッサーの引き出しに入っていた箱。ハルーシュ様との思い出の品。宝石類は、帳簿と照らし合わせれば変化があればすぐに分かってしまうので手を付けない。
 大切な荷物は、侯爵家に向かうときに持ち出した。
 処分されてしまってはたまらないと思ったので図々しいと思いながらもジョアンナ様にあずかってもらえないかお願いするつもりだ。
「では行ってまいります」
 お父様は珍しく上機嫌で私を送り出してくれた。
 また、娘が侯爵夫人ジョアンナ様に呼ばれてねとでも今日のお茶会で自慢するつもりなのだろう。
 馬車に揺られている間、お茶会での計画の話をジョアンナ様に打ち明けるかどうか決めかねていた。
 きっと、言えば止められるだろう。
 だけど、もう、私には何の未練もない。
 名ばかりの子爵令嬢という立場も。
 お父様に愛されたいと言う思いも。
 お母様の名誉を守ろうと言う気持ちも。