誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 夜会ならば……あまり明るくあければ、身代わりになっていても気がつかれないかもと思っていたのに……。
 明るい時間帯から始まるなんて。
 馬車を降りると、目の前には想像の何倍も立派な建物が見えた。
 すごい。日の光を浴びて、建物が真っ白に光っているよう。綺麗。
「こっちだ。ぼーっとするな」
 お父様が私に腕を差し出す。
 周りの人たちを真似して、そっとお父様の腕に手を回した。
 ……こんなことになって、初めてお父様にエスコートしてもらえるなんて……。
 でも、エスコートしてもらっているのは、ヴァイオレッタじゃない。「アイリーン」だ。
 建物の中に入ると、一段と光輝いていた。黄金に飾られた壁の装飾。見上げれば天井には色彩鮮やかな絵が描かれている。
 綺麗な絵。
 公爵夫妻へのあいさつの列が続いている。上位貴族から挨拶をするため、下位貴族である子爵家はずいぶん列の後ろの方だ。他の人たちは並びながら、近くの人といろいろと話を弾ませている。
 お父様も後ろに並んだ背の高い男性と話を始めた。
 誰を見ても誰が誰か分からない。と、眺めていると、こちらを見ている男性と目が合った。
 知り合いだろうか?
 にこりと微笑んで小さく頭を下げて視線を外した。
 誰だろう。お父様に確認した方がいいかもしれない。
 これ以上誰かと視線が合うのが怖くて、観察するのはやめることにした。