誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 こうして、アイリーンは心を保っていたのか……。
『ざまぁみろ』
 そう書かれた日記のすぐ後にはやはり。
『辛い』
 と言う言葉が出てくる。
『寂しい』
『またお茶会に行かなければならない。いやだ。行きたくない』
 お父様もお義母様もアイリーンには「我儘を言うな」「我慢しなさい」「ドレスを買ってやったのに何が不満だ」「今度宝石も買ってやるから文句を言うな」と繰り返している。
 それから……。
『ヴァイオレッタを見てみろ。ドレスも着られずみじめな姿を。お前もああなりたいのか……と言われ、変われるものなら変わりたいと言いそうになった。私は贅沢を言っているのだろうか。お義姉様が食事を抜かれたり、お父様や侍女たちに暴力を振るわれたりしているのを見てしまうことはある。……部屋も狭くて薄汚い屋根裏部屋。水仕事で荒れた手に、手入れが行き届かずぼさぼさになった髪。確かにみじめなのかもしれない』
 いいえ。アイリーン……。いいえ……。私はアイリーンはお父様とお義母様に愛されていると思っていた。
 うらやましいと思ったのはそれだけ。薄汚い屋根裏部屋をみじめだと思ったことはない。