誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 アランディスに強く手を掴まれてどこかへ連れて行かれそうになっただけでもあれほど怖かったのに。
「あ……ああ……アイリーン……」
 どれほど辛かったのか……。
 ぐしゃぐしゃに殴り書きされたページも、死にたいとびっしり書かれたページもこの時に書いたものじゃないのだろうか……。
 本来はとびらにあたるページで、本文のより少し良い紙が使われ、白紙のままのはずのページだ。
 もう一枚めくったページから書き始めるはずなのに書かれていた。日記として使っている本文の時系列とは関係ないタイミングで書くことができたはず……。
 苦しくて、涙がとめどなく零れ落ちる。
 誰にも打ち明けられなかったのだろう。
 いいえ、お父様にもお母様にも『もう、お茶会に行きたくない』と訴えたが却下されたと。
 我儘を言うな、一喝されたと。どうして……。
 それからだ。アイリーンがヴァイオレッタとして夜会に足を運びだしたのは。
『どうせいいようにされるなら、主導権は私が取る』
 相手を選び、選んだ相手同士がけん制しあうことで、どうやらアイリーンのような扱いを受けないようになったようだ。
『あの方がしつこいので困っていますと言えば遠ざけてくれる。だけどそれは愛じゃない。ただの独占欲だ。お茶会でアイリーン姿の私を私だと気が付かないのだ。愛してくれていれば気が付くはずなのに』
 ……。