誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 しまった。借りたまま出てきてしまった。
 いや、今はそんなことよりも……。こんな姿でうろついていたら子爵家の評判にかかわる。早く帰らなければ。
 街はお使いでよく来ているから道は分かる。
 速足で子爵家の屋敷に向かって歩きだした。
 途中、みすぼらしい服装の女性がうつろな目で物乞いをしているのが目に入った。
 どこかで見たような顔……。誰かに似ているような?
 と、気になりはしたけれど私には関係ないと、頭を振って屋敷に向かう。
「アイリーンお嬢さまっ!どうなさったんですか?」
 ミリアが心配そうに私に寄り添ってくれる。
「ドレスを脱ぐのを手伝ってくれる?大丈夫、ちょっと転んでしまったの。この格好じゃみっともないからかえって来たの……」
 ミリアはそれだけ言うと、ドレスを脱ぐのを手伝い、何も言わなくても傷の手当てをしてくれた。
「お茶を準備しますね」
「ありがとう」
 ミリアの後姿を見送り思い出した。そうだ、街で見かけた女性は、やめた侍女に似ていたんだと。
「何かあれば及びください」
 お茶を持って来たミリアはそういって部屋を出て行った。
 ミルクが入って少し甘さを感じる暖かいお茶を飲むと、心が落ち着いてきた。
 いろいろなことがありすぎて、混乱している。
 破かれたドレス……。袖がちぎれげしまった。