誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 ルード様は表情を動かさない。私がそう思っていることは分かっていたのだろう。
「いくら私がルード様のことを好きになろうとも、叶わないと……分かっています。そういうものだと……」
 ルード様が私を再びその胸に包み込む。
 今度は、宝物を扱うように優しい抱擁だ。
「違うんだ、違う。俺は、間違っていた。弟にだって……もし子爵家に婿入りしたいなら、我が家の恥とならぬように、鉱石を残し子爵家を伯爵家に陞爵できるように励むようにと言うこともできたんだ。婚約間近だったとはいえ、まだ婚約していなかったんだ。相手には別のよい縁談を世話することもできた……」
 それこそ、きれいごとじゃないだろうか……。いくら最小限になる方法を模索したとしても、家の評判を落とすことに違いはないのでは……?
 ジョアンナ様の出たければ……という言葉を思い出す。
 それは子爵家の令嬢として貴族としての務めを放棄するということ……。
 子爵家を出れば……お父様が「ヴァイオレッタは私の子じゃない」という主張を認めてしまうようなことなのでは……。
 刺繍一つ自由にすることができないと。
 もし家を出れば……ジョアンナ様の手を取れば……と思ったけれど。
 私はお父様に愛されなくても構わない。もう、お父様に愛されようだとは思わない。家族だと思うのもやめた。