誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 お父様がそう言いながら私が刺繍をした濃紺色のハンカチを出して見せている。
「こ、これは……」
「驚くでしょう?センスがいいと言いますか。これでなんと先日は侯爵様のお屋敷に御呼ばれして1泊したほどですよ」
「それは、本当に気に入られたのでしょう」
 お父様がそこで、わざとらしく物を取り落とした。
「おっと、失礼。出がけに手紙を読み返していてポケットに入れっぱなしになっていたようだ」
 どうやら、侯爵家の紋のはいった手紙を落としたみたいだ。
 ……そうか。
 急に予定になかったお茶会に出席するのは、このためだったのか。
 侯爵家に気に入られているというのをアピールしたかったのだ。
 ジョアンナ様は、徹夜で刺繍をさせたお父様をあまりよくは思っていなかった。見せびらかしている刺繍も、徹夜でさせたことが伝わらなければいいけれど……。
「デザインもさることながら、刺繍の腕も確かですな」
「でしょう、娘はこの繊細な刺繍を一晩で仕上げてしまったんですよ」
 お父様の自慢話が続いている。けれど、私にはとても聞いていられない。
 私の自慢をしているようで、侯爵家に好かれる娘を持っている自分を自慢したいだけだというのがすぐに分かってしまった」
 お父様から距離を取ると、すぐに令嬢に行く手を阻まれる。
 そしてあっという間に5人の令嬢に囲まれた。
「また、凝りもせず平民の子がのこのことやってきたの?」