誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

「だから、言うのよ。いろいろ陰口をたたかれ、辛い目にあなたを合わせたくないのよ」
 アイリーンが私を見た。
「いやだわ、お母様もお父様も。結婚前に妊娠して子供を産むのは、私じゃないわよ?」
 アイリーンはかぶっていた茶色のカツラを外した。
「お義姉様が、子供を産むのよ」
「え?」
 思わず声が出た。
「え?じゃないわよ。関係を持ったのは、ヴァイオレッタだもの。当然でしょ?」
 アイリーンはカツラを私に投げつけ、立ち上がると椅子に座りなおした。
「あー、お腹が空いたわ。何か食べる物を持ってきて頂戴」
「私が子供を産むって……どういうことなの?」
 妊娠したのはアイリーンだ。私のお腹には子供はいない。
「あー、もう、分かんないの?しばらく私は領地で隠れて過ごすわ。ヴァイオレッタは体調を崩して舞踏会に出られないとでも言っておけばいいわよ。今日倒れたこともちょうどいいわよね」
 お父様が手を打った。
「そうだな、そうだ。ヴァイオレッタが産んだことにすればいいんだな。子供が生まれたら、髪と目の色で父親に交渉すればいいってわけだ。もちろん、ヴァイオレッタ、お前がな!」
 お義母様も頷いた。
「そうね。アイリーンは妊娠なんてしてない。……そうだわ、何回かヴァイオレッタ、あんたがアイリーンのドレスを着てお茶会や夜会に出なさい。お腹が膨らんでなかったってアリバイを作るのよ」
 信じられない。