誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 最後に左の下段の引き出しを開く。
 中には箱が入っていた。
 細工のなされた木箱。蓋を開こうと思って手を止める。
 ハンカチをこんな木箱に入れるわけはない……。これ以上理由もなくのぞき見のような真似をするわけにはいかない。
「ああ、そうか、ヴァイオレッタの……」
 アイリーンの部屋にはアイリーンの品が。
 隣にはヴァイオレッタの部屋もある。私の部屋は屋根裏だけれど、ヴァイオレッタが使っていることになっている部屋だ。
 アイリーンがヴァイオレッタとして夜会に出るときにはそちらの部屋で準備をしているのだ。クローゼットを開くと、アイリーンの淡い色のドレスとは違い、濃い色のドレスがずらりと並んでいた。紫に真っ赤。黒もある。
 婚約者の目の色や髪の色に合わせたドレスを着ることもあるっていうけど……。
 黒髪のルード様の隣に黒いドレスで並ぶ姿を思い浮かべる。
「あー、もう嫌になる……!そんなことないのに」
 ハンガーにかけてあるドレスとは別に、引き出しには思った通り、同じように破れて修復不可能そうなドレスがあった。
 色は濃紺……。
 ハンカチと言えば、主流は白だ。色が入っているといっても、淡いい色。
 ジョアンナ様に贈ったハンカチも、刺繍した花こそ濃い色も混じっていたけど布の色は薄目の紫だった。
「流石に、濃紺はないかしら?」
 考えている時間はない。
 ピンクよりはましだろう。