誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 お父様が眉を寄せた。
「侍女に?」
「実は刺繍に必要な物がも買ってきていただきたいのです。ジョアンナ様のお屋敷へ行った帰りにちょうど頼めるのではないかと……。通り道に店はありますし……。その、刺繍の材料に関してはある程度知識がある者に頼みたいのですが……」
 お父様がああ分かったと頷いた。
 ほっと息を吐き出す。
「じゃあ、お願いします」
 ミリアと執務室を出て、足りない刺繍糸を買ってきて欲しいとお金を渡す。
 これで、侍女が侯爵家へと手紙を届けに行っても不審がられないだろう。
 布を洗って、絞って干す。それから袖を直したドレスにアイロンを当てる。
 少し乾いた布にアイロンをして乾かしていく。
「これで最後」
 アイロンをかけ終わってからから、布の端をぬってハンカチにしていく。
 それからやっと刺繍だ。
 花の形を思い出しながら、花びら1枚1枚丁寧に刺繍していく。
 白いモス・フロックス。。ピンクのハンカチに白い花を散らしていく。
 どれくらい散らせばいいだろう。ハンカチ全体に刺繍してしまうと、使いにくくなってしまいそうだ。
 あと、ここと、ここに……2つくらい花を刺しておしまいにしよう。
 と、ハンカチを両手で持ち上げて全体のバランスを見ているところでノックが響いた。
 もう食事の時間だろうか?
 お父様に言われて使用人が近づくことはないし、お父様はノックをすることもない。