誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 そう決めると、さっそく作業に取り掛かる。
 何かしていると、考え事をしなくて済む。
 不安や恐れもない。
 ただ、目の前にあることをこなしていく。
 考え出すと、不安に胸を押しつぶされそうな時もある。
 考えても、怖くて何も行動できなくて、そんな自分に嫌悪するときもある。
 だから、考えない方が楽。
 何も……考えずに忙しく動いている方がいい。
 ほんの少し嫌なことに目をつむるだけ。
 明日も同じような日が来る、それだけ。
 ドレスをほどいて、使えるところをハンカチの大きさの布に切っていく。
 それよりも小さな布は、何かに使えるかもしれないと取っておく。ひどく汚れてしまっている部分と小さすぎて使えそうにない部分は、細かく切って、針刺しの中身にでも使おうか。小さい布で針刺しは作れそうだ。
 やっと、布を用意できた。刺繍をする前に一度洗ってアイロンをかけた方がいいだろう。
 なるべく部屋を出ないように言われているけれどお父様に言われたことをするためなので仕方がない。
 水を汲んできて部屋に戻るときに侍女に見つかってしまった。
 何をしているの、勝手なことを!と言われると思って張り付いた笑顔を見せると、意外な言葉が侍女の口から洩れた。
「申し訳ございません。お嬢様、および下さればやりますものを……」
 え?
「自分でできるので、あなたの手を煩わせるようなこともないので大丈夫よ」