誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 お母様の日記が書かれた本を机の引き出しに入れていたから。
 ここはアイリーンの部屋だ。机の中にはアイリーンの物が入っている。
「何を入れているのかしら?」
 人の物を勝手に見るのは気が引けるけれど、本を入れようと押し込んだときに潰したり壊したりしてしまっていないか心配になり引き出しを大きく引き出す。
「あ……」
 引き出しに入っていたのは、お母様の本と似たような本だった。
「よかった。これなら間違えて潰したりする心配はいらないわね」
 ホッと息を吐き出し、引き出しを閉めお母様の本を本棚に戻して裁縫道具を取り出す。
 使用人は文字が読めないから本棚の本を手に取ることはない。
「刺繍……何を刺繍しよう」
 そう言えば、白いモス・フロックスの花言葉は「きらめく恋」だと言っていた。
 それにしよう。……あ、でも……。
 今あるハンカチにできる布は白いものばかりだ。白い布に白い花を刺繍するわけにもいかない。
「何かないかしら?」
 クローゼットを開く。右に寄せてあるドレスはシミが付いていて着られなかったものだ。
「ほどいて布にしてしまってはダメかな?……こうしてつるしてあるということは染み抜きをしてまだ着るつもりか、シミの部分をフリルなどで隠すつもりがあるってことだよね……」
 ドレスがつってある下に3段の引き出しのタンスが置いてある。引き出しを開くと、折りたたまれたドレスが入っていた。