誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~

 あんなに、私のことを気遣って声をかけてくれたジョアンナ様に、謝らせてしまった。
 だけど、怖い。
 辛いことも確かにある。でも、それ以上に怖い。
 新しい生き方をするのは怖い。
 知らないことばかりの世界に飛び込んでいくのが怖い。
 もしかしたら、刺繍を売ればお金を得ることができるかもしれない。ジョアンナ様に使用にとして雇ってもらえば生活できるかもしれない。
 でも、本当にできるの?本当に大丈夫なの?新しい場所で、知らない人たちに囲まれて、何もかも自分で……一人で……。
『寂しい』
 お母様の言葉。
 私も、寂しいよ。
 だけど、この家にはお父様とお義母様と義妹という家族がいて一人じゃないから。
 一人じゃないのに、寂しいんだ……。
『でも、私にはあなたがいるもの』
 お母様。
「お母様……私も、一人じゃなくなるんです……。アイリーンが”ヴァイオレッタ”の子供を産んでくれるんです」
 本を閉じて、胸に抱きしめる。
 何度も読んだお母様の日記になった本。
『何があっても、ヴァイオレッタ、あなたのことは守るから。浮気をした子だとあなたにひどく当たるなら家を出なければ』
「お母様は……怖くはなかったんですか……?」
 お母様に話しかける。……返事は帰って来ないと知っているけれど。
 本を机の引き出しの中へ入れようとして、入らなくて思い出す。
 屋根裏部屋でしていた動きがまだ抜けない。