野愛とふたりだけで出かけるだなんて、何されるかわからないとわかってるくせに、わたしは彼だけで良いと思ってしまっている。
少しの息抜きになるのなら、野愛が【皇帝】でいなくていい場所を作れるのなら、ふたりで夏祭りに行ってあげても良いんだから。
「こんなの、仕事なんて一瞬で片付けられそう」
夏休みも、野愛に会える。
学校に行かなくても、会える。
その事実がなぜかとても嬉しくて、わたしだって勝手に素直になってしまう。
「……がんばって、ね」
ツンと明後日の方向を向いて絞り出した言葉にも。
「ん、ありがと」
嬉しそうに目を細める野愛には、これからもぜったいに勝てないと思った。



