なぜか途端に上機嫌になった彼は、資料の束を見つめて笑みを浮かべている。
さっきまでのやる気のなさが嘘のように、爆速で仕事を片付けている野愛を呆気に取られて見つめていると、彼は仄かに甘い声でこう言った。
「今日は櫂がいないから、ふたりきりだね?」
「だ、だから……?!」
わざわざそんなことを言わなくて良いのに。
無駄にドキッとしてしまって、動揺が隠せない。
「瑠璃ちゃんひとりじめ」
口角をキュッと上げて、わたしの反応で楽しそうに遊ぶ彼は、あまりにもひどいと思う。
どうして彼といると、こんなにも心臓が痛くなるのだろう。
「ちなみにさ、夏祭りの日も俺が瑠璃ちゃんひとりじめしていいの?」
「〜〜っひとりじめって言い方、良くない! なんかやだ!」
「つまりふたりきりで良いってことね」
「このポジティブ思考っ!!」



