ノア様の愛のいじわる



肝心な言葉が言えない。

だって、どう誘っても、わたしがどうしても行きたいみたいになっちゃうから。

そういうんじゃなくて、野愛が少しの息抜きになればいいかなと思っただけなのに。


ずっと口籠もっているわたしをじーっと見つめていた野愛は、何かを気付いたかのように口角を上げた。


「るーりーちゃん。夏祭り、行く?」


ずるい。そんなのずるい。

拒否権なんてないくせに、わたしに委ねないでほしい。


「……野愛が行きたいなら、行ってあげても、いいよ」


ああ、わたしってば本当に可愛くない。

わたしの返答が意外だったのか、目をぱちくりさせた野愛は、途端に可笑しそうに吹き出した。


「ん、じゃあ行こ」

「……仕方なし、だからねっ! 野愛の息抜きのため、だからね?」

「はいはい。わかってるよ、ありがとな。瑠璃ちゃん」

「…………うん」


意地悪してこない野愛は心臓に悪い。

どうしてこんなにドキドキするのかは、考えたくもない。