ノア様の愛のいじわる



ん?、と首を傾げられ、うっと言葉をつまらせた。


顔だけはすばらしく整っている野愛に見つめられると、心臓に悪い。

ずるい、敗北決定。


わかっててやってるところが、さらに気に食わない。




わたしなんかよりも、ステキな女の子が山ほどいるのに。


見つけたオモチャは、結局いつかすぐに捨てるくせに。

そういうところが、野愛のわるいところだ。


……だから、野愛に捨てられたくないって思っている自分の心がイレギュラーだと考えるほかないんだって。





ココ、というのは【帝国】と呼ばれるこの部屋のこと。


【皇帝】と、その補佐と、入室を許可された限られた教師や生徒しか立ち入れない場所。



そんなところに、なんで一般生徒のわたしがいるのかって?

だから、それは。



野愛が毎日毎時間、わたしのことを呼ぶから。

それ以外なんて、ないんだから。