ノア様の愛のいじわる



「俺、瑠璃ちゃんをそんな悪い子に育てた覚えないんだけど?」

「ん?! わたしはそもそも、野愛に育てられた記憶が1ミリもないんだけど?!」

「あーあ、瑠璃ちゃん酷いわ」


なんだなんだ。今日の野愛は、あまりにも負のオーラがすごい。

嫌味を言っても乗っからずにするりと交わしてくるし、野愛らしくない。


「あと、理由ふたつめ。瑠璃ちゃんを夏休み中にいじめられないこと」

「……?!」


なんてこった、サイアクだ。

わたしと野愛の思考回路は同じなのだろうか。


「…………っ、ふん! 夏休みにまで野愛に意地悪されたくないし! 」

「俺に会えなくて寂しい、の間違いじゃなくて?」

「そんなこと思ってない!!」


なんで野愛の前になると、こんなにもケンカ腰になっちゃうんだろう。

わたしだって、本当はもう少し素直な女の子なのに……だなんて思うも、こんな男にそんなこと言っても仕方ない。


「瑠璃ちゃんがいねぇ学校で1ヶ月過ごすとか。つまんねーな、夏休み」