「わたしの、せい?」
わたし、野愛に何かしちゃった?
どちらかというと野愛がわたしにしていることの方が多いのでは……と思いつつも、それはさすがに言葉にせず、首を傾げる。
「そーそ。まず俺が元気ない理由ひとつめ、瑠璃ちゃんが俺の挨拶も聞かずに友達とおしゃべりに夢中になってたことね」
「……うっ、それはさっきごめんねって言ったじゃん」
「俺寂しかったなあ、瑠璃ちゃんが俺のことなんて見もせずに話してたの」
「〜〜っそれは、事情があったの!」
「事情? どんな?」
「野愛には言えない!! 秘密!」
だれが野愛に、どうすれば(いつもの仕返しに意地悪しようと)夏休みに会いに行くことが出来るか考えていましただなんて言えるの?!
そう思うがしかし、野愛は上目遣いでわたしを見つめてくる。
その瞳で、いったい何人の女の子を落としてきたのだろう。
わたしはその手に引っかからないからね……と闘志を燃やしていると、彼はまたもや深いため息をついた。



